湖畔を染める紫の調べ── 余呉湖に咲くあじさいたち

しとしとと降る梅雨の雨に包まれながら、静かな余呉湖のほとりでは、今年もあじさいが美しい彩りを見せてくれています。

湖北の山あいにひっそりとたたずむ余呉湖。その静けさに寄り添うように、湖畔の遊歩道沿いには、ほとんど紫一色のあじさいが群生しています。濃淡さまざまな紫の花が連なり、まるで湖に咲く薄紫の帯のよう。見渡すかぎり、紫のグラデーションがしっとりと風景に溶け込んでいます。

特に雨の日の風景は格別です。水をたっぷり含んだ花びらがつややかに輝き、深い緑の葉と紫の花のコントラストがひときわ美しく感じられます。曇り空や霧がかる湖面も、紫のあじさいと重なって幻想的な雰囲気を醸し出します。

遊歩道を歩いていると、聞こえるのは鳥の声と足音、そしてときおり通り過ぎる風の音だけ。あじさいの美しさに見とれながら、ふと足を止めて湖を眺める。そんな静かな時間が、日常の喧騒をそっと癒してくれます。

あじさいの見頃は例年6月中旬ごろまで。とくに雨上がりの朝や、少し霧がかる日などには、一段と美しい紫の世界が広がります。傘を片手に、静かに色づく湖畔の散策はいかがでしょうか。

アクセス情報

北陸自動車道「木之本IC」から車で約10分。
余呉湖の周辺には無料の駐車場（余呉湖ビジターセンター前など）があります。

JR北陸本線「余呉駅」下車、徒歩約15分。
駅から湖畔までは道もわかりやすく、散策にちょうどよい距離です。