たぬきが町のスターに──信楽たぬきが全国に広まった理由(その3)
今や「信楽=たぬき」と言われるほどの知名度を誇るたぬきたちですが、その名を全国に広めたきっかけは、昭和天皇の訪問でした。
昭和26年(1951年)、昭和天皇が信楽を訪問されることになり、地元の人々はたぬきの置物を沿道に数百体並べて歓迎しました。山あいの小さな陶器の町が、一斉にたぬきで彩られた様子は圧巻。天皇陛下はそのユニークな歓迎に大変喜ばれ、その様子は新聞やニュースで大きく報じられました。
このエピソードをきっかけに信楽たぬきは全国に知られるようになり、各地の商店や家庭にも広まっていきました。町としてもその流れを活かし、「たぬきの町 信楽」として観光振興に取り組むようになります。

滋賀県では「一家に一たぬき」と言われるほど、たぬきの置物が日常生活の中に根付いています。家の玄関先や庭、門柱のそばなどに、たぬきがいる光景は珍しくありません。子どもの頃から当たり前のように見て育ってきた滋賀県民はたぬきが身近な存在です。
昭和後期から平成にかけては、大型のたぬきオブジェが町の入口や駅前に設置され、土産物店や飲食店の前にもたぬきが並ぶように。さらには「信楽たぬきの日」(10月8日)も制定され、毎年たぬきにちなんだイベントが開催されています。

現代では、信楽たぬきは海外からも注目されています。アメリカのガーデン装飾市場や、台湾・香港などアジアの観光客にも人気で、お土産やギフトとして輸出されているケースもあります。SNSでも話題になることが多く、アニメやキャラクター化されるなど、日本のローカル文化のひとつとして再評価されています。


信楽の子どもたちにとっても、たぬきはただの焼き物ではなく、町のアイデンティティ。学校ではたぬきの歴史や陶芸体験を通して、地域への誇りを育む活動も行われています。
アクセス方法
- 電車:JR草津線「貴生川駅」→信楽高原鐵道「信楽駅」下車。
- 車:新名神「信楽IC」より約10分。町中には無料・有料の駐車場あり。
現在の楽しみ方
- 「信楽たぬきの日」イベント(10月)
- 町中の巨大たぬきオブジェ巡り
- 限定たぬきグッズや郵便ポスト型たぬき
- 海外へのお土産・ギフトとしての購入
- 地域の学校での学習・陶芸体験
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