【滋賀の味】琵琶湖しか出会えない小鮎の佃煮

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琵琶湖でしか出会えない滋味──小鮎の佃煮と湖の恵み

滋賀の春から初夏にかけての風物詩──それが「小鮎(こあゆ)」の佃煮です。
ごはんのお供にも酒の肴にもなるこの一品は、滋賀の豊かな自然と暮らしが詰まった郷土の味です。

採ったばかりの新鮮な小鮎さん

■ 小鮎ってどんな魚?

「小鮎(こあゆ)」とは、名前の通り小さな鮎のことですが、稚魚というわけではありません。
実は琵琶湖で育つ鮎は、成魚になっても10cmほどにしかならない特有の種で、小型のまま成熟するのが特徴です。
これは、琵琶湖という限られた環境に適応した結果だと考えられています。

琵琶湖の小鮎は10センチまでで成長がとまります

つまり「小鮎」とは、「小さいけれど大人の鮎」。そしてこの小鮎、漁獲できるのは全国でも琵琶湖だけという希少な存在なのです。

■ 湖と山が育む小さな恵み

小鮎が育つ琵琶湖は、伊吹山、鈴鹿山脈、比良山系などの山々から栄養豊かな水が流れ込む、日本最大の淡水湖。
その清らかな水と独自の生態系の中で、小鮎はやわらかく繊細な身に、ほのかな苦みと旨みをたたえた滋味深い魚に育ちます。

小鮎漁はこの季節大忙しです

まさに「琵琶湖の恵み」を体現する存在です。

■ 小鮎の佃煮の魅力

この小鮎を甘辛く煮詰めたのが「小鮎の佃煮」。
頭から尾までまるごと食べられ、やわらかい骨の食感と、ほんのり広がる苦みと甘さのバランスが絶妙。
ごはんが進むのはもちろん、日本酒や焼酎にもぴったりの一品です。

地元では春の漁が始まると、小鮎を佃煮にして保存食にする風習もあり、台所に欠かせない常備菜のひとつです。

小鮎の佃煮は実山椒

■ 家でも作れる?小鮎の佃煮レシピ

わが家でも春になると、毎年この小鮎の佃煮を大量に炊きます。
一度に2〜3kgほど作るのが定番で、鍋いっぱいの小鮎を丁寧に煮詰めるのは、季節の恒例行事のようなもの。
時間はかかりますが、その分、台所に立つ香りや風景もごちそうのひとつです。

自宅で炊いた小鮎さん

● 材料(少量の目安)

  • 小鮎 … 200〜300g
  • 醤油 … 大さじ3
  • 砂糖 … 大さじ2〜3(お好みで)
  • みりん … 大さじ2
  • 酒 … 大さじ2
  • 実山椒 … 適量(必須)

● 作り方

  1. 小鮎はやさしく洗い、水気をふき取る。苦味が気になる場合は湯通ししておく。
  2. 調味料と小鮎、実山椒を鍋に入れ、落とし蓋をして弱火でコトコト煮る。
  3. 途中で焦げつかないように注意しながら、煮汁がなくなるまで30分〜1時間ほど煮詰める。
  4. 火を止めてそのまま冷まし、味を含ませて完成。

実山椒の香りと辛みが、小鮎のほろ苦さと絶妙に調和し、味の決め手となります。
たくさん炊いて冷凍保存しておけば、季節を越えても滋賀の味を楽しめますよ。

■ 小さな魚に込められた、滋賀の味と文化

琵琶湖の自然が育んだ小鮎と、それを丁寧に煮込んだ佃煮。
その一口には、滋賀の風土と人々の知恵が息づいています。

旅のお土産としてだけでなく、ふだんの食卓にも取り入れてみませんか?
小さな魚から伝わる、深くてやさしい滋賀の味──それが小鮎の佃煮です。

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