天女が舞い降りた湖 ― 余呉湖の羽衣伝説を訪ねて

滋賀県長浜市の北部に、鏡のように静かな湖「余呉湖(よごこ)」があります。
湖面に山々が映り込むその光景は、まるで異世界に足を踏み入れたかのような静謐さ。
そんな余呉湖には、ある美しい伝説が語り継がれています。今回は、この湖にまつわる「羽衣伝説」をご紹介します。
湖に舞い降りた天女の物語
昔々、余呉湖のほとりに住む一人の若者が、湖で水浴びをする天女たちを見かけました。
そのうちの一人の天女の羽衣を、若者はそっと隠してしまいます。羽衣がなければ、天に帰ることができない天女。
仕方なく彼女は若者のもとで暮らすことになり、やがて二人の間には子どもも生まれました。
しかしある日、天女は偶然にも隠されていた羽衣を見つけてしまいます。
子どもを深く愛していた彼女でしたが、天界への想いも断ち切れず、とうとう羽衣を身にまとい、空へと帰っていってしまったのです。
湖畔に残された若者と子どもは、天を見上げながら彼女の面影を想い続けたと言われています。

湖畔に残る伝説の面影
余呉湖には、今もこの物語を偲ばせるスポットがいくつかあります。
湖のほとりには、天女の像が静かに佇んでいます。遠くを見つめるその優しい表情は、どこか切なく、神秘的。
また、羽衣をかけたとされる「羽衣の松」も、伝説の舞台として語られています(現在は跡地として紹介されています)。
自然と伝説が交差する余呉湖
余呉湖は一周およそ6.4km。湖畔をゆったり歩くと、自然の美しさと伝説の面影を心ゆくまで味わえます。
特に早朝、湖面に朝霧が立ち込める時間帯は、まさに天女が舞い降りてきそうな幻想的な雰囲気。
冬にはワカサギ釣りも楽しめるなど、四季を通じて訪れる人の心を癒してくれます。

最後に
古くから語り継がれてきた「羽衣伝説」。
それは、単なる昔話ではなく、この地に暮らしてきた人々の心の中に根付いた、大切な記憶でもあります。
余呉湖を訪れた際は、ぜひ風景だけでなく、この美しい伝説にも思いを馳せてみてください。
もしかしたら、あなたのすぐそばにも、羽衣をまとった天女が舞い降りているかもしれません。
余呉湖へのアクセス
所在地:滋賀県長浜市余呉町
公共交通機関:
JR北陸本線「余呉駅」から徒歩約10分。
米原駅から乗り換えてアクセス可能です。
車の場合:
北陸自動車道「木之本IC」から国道365号経由で約15分。
湖畔には無料の駐車場もあります(季節により混雑あり)。
地図:
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